ショート動画と集中力|日本と世界の調査で分かっていること・まだ分かっていないこと

「ショート動画は、集中力に影響するのでしょうか」

いま分かっていることを、調べてまとめてみました。日本の調査には、少し気になる数字も出ています。

分かっていることと、まだ分かっていないことを、分けて並べています。もくじから、気になるところへ飛べます。

── このページで言いたいこと ──
1

日本の2つの調査で、見る時間が長いグループほど、テストの平均点は下の段になっていました。

2

ただ「動画のせい」とまでは、言い切れません。お互いに引っぱり合っているようです

3

目安は1時間。あわせて見ておきたいのが「やめられなくなっていないか」です

1どれくらい見ているの?

答え中3は、4人に3人が1日2時間以上です。

毎年4月に、小6と中3の全員が受けるテストがあります(全国学力・学習状況調査)。このとき、こんなアンケートもとっています。

「平日、1日にどれくらいの時間、SNSや動画を見ますか?」
※ 勉強で使う時間と、ゲームの時間は入れません。スマホのほか、タブレット・パソコン・ゲーム機・テレビも入ります

2026年の答えです。中3の場合——

「4時間以上」28.5%3〜4人に1人
「30分より少ない」2.0%50人に1人

中3は、4人に3人(74.4%)が1日2時間以上。小6でも、半分より多くの子が2時間以上でした。

学年ごとのくわしい内訳は、ページのいちばん下に載せています。

では、この時間とテストの点は、関係があるのでしょうか。

2成績と、関係あるの?

答え日本の2つの調査が、どちらも同じ形を示していました。

① 全国の調査(2026年・中3の数学)

4時間以上49点
3〜4時間56点
2〜3時間61点
1〜2時間66点
30分〜1時間69点
30分より少ない70点

100点のテストにたとえた点数です。小6の国語・算数、中3の国語・英語も、同じ形でした。

時間が長いグループほど、平均点が1段ずつ下の段になっていきます。いちばん上と下で、21点。

ただ、この数字から言えないことがあります

「ショート動画」だけの数字ではありません。テレビもゲーム機もSNSも、ぜんぶ合わせた時間です。また「減らせば点が上がる」とも書かれていません。分かるのは「長いグループほど下の段」ということだけで、どちらが先かは分かりません。

そして、スマホを持っていない子が、いちばん上とはかぎりません。中3の数学で、30分未満の子が70点。持っていない子は58点でした。持たせないことが答え、というわけでもなさそうです。

② 仙台市の調査(中学生 2万2千人)

仙台市と東北大学が、市内の中学生 全員を対象に続けている調査です。勉強時間とスマホの時間を、組み合わせて見たところが、この調査のおもしろいところです。

2時間以上 勉強して、
スマホは1時間より少ない子
75点
勉強は30分もしないけれど、
スマホは使わない子
63点
2時間以上 勉強するけれど、
スマホも4時間以上の子
58点

よく勉強しているお子さまでも、スマホが4時間を超えると、ほとんど勉強していない子の平均点を下回っていました。

ひとつだけ、見ておきたい数字があります。全国の調査でテストの点といちばん強く結びついていたのは「授業の内容がよく分かる」でした。動画の時間より、こちらのほうがずっと強いのです。

では、使う時間を減らしたら、戻るのでしょうか。

3やめたら、戻るの?

答え仙台市の追いかけ調査では、やめた年には、まだ戻っていませんでした。

同じ子どもたちを、2年つづけて見たものです。1年のあいだに偏差値がどう動いたかを並べています。

スマホを使っていない子+0.44
使いはじめて、1時間より少ない子+0.41
使いはじめて、1時間以上の子−0.76
ずっと1時間以上 使っている子−0.39
1時間以上 使っていたけれど、やめた子−0.25

平成26〜27年度の経年変化分析より。全部で9つの区分があり、ここでは5つを抜き出しています。

いちばん下の行です。やめた子も、その年にはまだ戻っていませんでした。いっぽうで、1時間より少ない子は、使いはじめても上がっています。

この調査をしている東北大学のプロジェクトは、ここから「スマホは、どんなに長くても1時間以内に」という目安をすすめています。

では、動画のせいなのでしょうか

2026年に出たいちばん新しい研究では、中学生・高校生 1,227人を3学期にわたって追いかけました。分かったのは、こういうことでした。

お互いに、引っぱり合っていました
1
動画に のめり込むほど、授業への向かい方が弱くなる
2
授業への向かい方が弱くなるほど、動画に のめり込む

どちらが先か、ではなく、ぐるぐる回っていたということです。だからこそ、早いうちのほうが、あとが軽くなりやすいようです。

世界の研究は、どこに差が出ていたか

2025年に、世界中の研究71本・のべ約10万人分を集めてまとめた報告が出ました。ショート動画だけを集めた、いまいちばん大きなまとめです。

はっきり差が出たのは、「集中が続くか」と「やめられるか」の2つ。記憶や、筋道を立てて考える力では、大きな差は出ていませんでした。

研究した人たちの説明は「慣れ」です

速くて強い刺激を受け続けると、それが当たり前になる。すると、ゆっくりしたこと(本を読む、問題を解く、話を聞く)が、物足りなく感じられるようになる──という説明です。中学校のワーク1ページも、教科書の1節も、ショート動画よりずっとゆっくりしたもの。勉強にいちばん効いてくるのは、ここだと考えられています。

ここまでが、数字のお話です。あとは、おうちでできることです。

4おうちで、できること

答え目安は1時間。あわせて4つのサインを。そして、まずは聞くだけ。

① 時間だけでは、足りないところ

仙台市の調査は「1時間」という線を出しています。いっぽうで世界のまとめを見ると、同じ1時間でも、くつろいで見た1時間と、やめられないまま過ぎた1時間では、出てくる結果が違っていました。

「何分見たか」で測るとうっすらほとんど差が出ない
「やめられなくなっているか」で測るとはっきり差が出る
「やめられなくなっている」の4つのサイン
1
やめようと思っても、やめられない
2
見ていないときも、気になっている
3
見られないと、イライラする
4
ふだんの生活(宿題・睡眠・約束)に、支障が出ている

1日2時間でも、ひとつも当てはまらないお子さまはいます。逆に、30分でも全部当てはまることがあります。

② 入り口で、つまずきやすい3つ

  • 「見すぎ」……その先が、言い分の言い合いになりがちです
  • 「だから成績が下がる」……そこまでは証明されていません。お子さまのほうが、よくご存じのことがあります
  • 「取り上げる」……そこで話が終わってしまい、次から画面を見せてくれなくなります

「何分まで」から入ると、お互いに言い分が立つので、話が進みにくくなります(「友達はもっと見てる」「宿題は終わってる」)。

③ そのまま使える、4つの聞き方

叱る話ではなく本人の感覚を聞く話にすると、答えが返ってきやすくなります。①の4つのサインを、そのまま質問に直したものです。

「見てて楽しい? それとも、気づいたら時間たってる感じ?」

「やめようと思ってるのに、やめられないこと、ある?」

「見たあと、勉強に戻るの、しんどい?」

「自分で決めるとしたら、何時までにする?」

「別に」「普通」で終わっても大丈夫です。

聞かれたという事実は残ります。中学生は、その場では認めなくても、あとから自分で考えます。その日のうちに結論は出ません。

④ 動かすなら、寝る前の1時間だけ

いきなり全部を変えると、たいてい2日で戻ります。ひとつだけなら、寝る前の1時間だけ、別の部屋に置く──ここがいちばん動かしやすいところです。

  1. 翌日の授業に直結します。眠りの質との結びつきも、同じ報告で出ています
  2. 1日のうち1時間だけなので、交渉になりにくい。「夜だけ」は、お子さまの側も飲みやすい条件です
  3. 効果が本人に分かります。朝が楽になるかどうかは、言われなくても自分で気づきます

2週間ほど続けたあとで「どうだった?」と聞くと、本人の答えが出ます。変わらなかったという答えなら、そこでやめて差し支えありません。一度やってみて本人が判断した、という経験のほうが、続かないルールより残ります。

ルールとして紙に残す方法は、別のページにまとめています → 子どものスマホのルール、どう決める?

さいごに。

数字をいくつも並べましたが、お伝えしたかったのは「何分までにするか」ではありません。よろしければ一度、お子さまに聞いてみるのはいかがでしょうか。

「別に」で終わっても大丈夫です。聞かれたという事実のほうが、あとに残ります。

それから、2章の数字をもうひとつだけ。動画の時間より、「授業の内容がよく分かる」かどうかのほうが、テストの点と強く結びついていました。動画を減らすより、分からないところを減らすほうが先かもしれません。そこは、わたしたちがお手伝いできるところです。

お子さまの様子で気になることがございましたら、面談でも教室でも、お気軽にお声かけくださいませ。

個別学習塾en 菅野 悠

出典と、くわしい数値

■ 1章・2章①=文部科学省・国立教育政策研究所「令和8年度 全国学力・学習状況調査」報告書【質問調査】より、児童生徒質問(4)および選択肢ごとの平均正答率。調査は2026年4月20日〜5月29日実施、小学6年生(約94万人)・中学3年生(約88万人)が対象。調査結果はこちら

平日1日あたり、SNS・動画を見る時間(合計が100%にならないのは、その他・無回答があるためです)

 小6中3
4時間以上21.7%28.5%
3〜4時間15.6%20.6%
2〜3時間19.9%25.3%
1〜2時間20.9%17.1%
30分〜1時間11.1%5.2%
30分より少ない5.8%2.0%
持っていない4.5%1.0%

選択肢ごとの平均正答率(%)。本文の「100点のテストにたとえると」は、この数字をそのまま点数に置き換えたものです。

1日に見る時間小6 国語小6 算数中3 国語中3 数学
4時間以上52.947.758.548.7
3〜4時間58.152.763.255.5
2〜3時間62.057.366.661.0
1〜2時間65.261.069.565.9
30分〜1時間67.563.771.468.9
30分より少ない70.768.671.869.6
(参考)持っていない64.160.763.357.5

中3英語も同じ形で、スコアが 463 → 548 まで並びます。質問(4)と平均正答率の相関係数は、小6国語 −0.240/小6算数 −0.252/中3国語 −0.199/中3数学 −0.246/中3英語 −0.257。「授業の内容がよく分かる」は +0.459(小6算数)、「朝食を毎日食べていますか」は +0.163(同)。
※この質問は令和8年度から対象の機器が広がっています(令和6年度までは携帯電話・スマートフォンのみ)。同じ条件での比較にならないため、本ページでは年度ごとの増減には触れていません。

■ 2章②・3章=東北大学加齢医学研究所/仙台市教育委員会「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」。平均点は平成25年度 仙台市標準学力検査等(仙台市立中学校の全生徒 2万2,390人)、偏差値の変化は平成26〜27年度の経年変化分析より。仙台市の配布資料(PDF)はこちら
偏差値の変化は全9区分で、本文に載せていない4つは、使うのをやめた・1時間未満で使っていた +0.74/使い続けている・1時間未満 +0.93/1時間以上から1時間未満に +0.31/1時間未満から1時間以上に −0.16。
※スマートフォン・携帯電話の使用時間全般についての調査で、ショート動画だけを取り出したものではありません。また、調査の時期は2013〜2015年度です。

■ 3章の最新の研究=Li ほか (2026). Associations between adolescent problematic short-form video use and academic engagement: Longitudinal and network analysis. Journal of Research on Adolescence, 36(2), e70210.(中国の中高生 1,227人/3学期にわたる3回の調査/平均年齢16.0歳)

■ 3章の世界のまとめ・4章=Nguyen, L. ほか (2025). Feeds, Feelings, and Focus: A Systematic Review and Meta-Analysis Examining the Cognitive and Mental Health Correlates of Short-Form Video Use. Psychological Bulletin, 151(9), 1125–1146.(オーストラリア・グリフィス大学/71研究・98,299人)論文はこちら
相関係数は、やめる力(抑制コントロール)−0.41〈7本〉/集中が続くか(注意)−0.38〈5本〉/覚えながら考える力(ワーキングメモリ)−0.21〈2本〉/記憶 −0.14〈1本〉/筋道を立てて考える力(推論)関連なし〈1本〉/認知全体 −0.34〈14本〉。測り方の違いは、見ている時間の長さ −0.20〈4本〉に対し、のめり込みの度合い −0.37〈9本〉。眠りの質は −0.22〈7本〉。

■ このページで使っていない研究=Ward ほか (2017) “Brain Drain”(スマートフォンが手元にあるだけで認知の余力が減るとした研究)。よく引用されますが、その後の複数の追試で再現されていません。

シリーズ「子どものスマホ、どうする?」

個別学習塾enが、保護者さま向けに4回に分けてまとめています。はじめての方は1から順にご覧いただくのがおすすめです。

1SNSを見せない設定
iPhone・Android・携帯会社の設定を、押す順番どおりに
2ゲームの課金と時間
課金の止め方(まずここ)と、時間の区切り方
3家庭のルールの決め方
何を決めるか・どう決めるか。書き写せるひな形つき
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